2014/12/30

奥村家土塀 冬の光

 そもそも地元が「雪の金澤」を盛んにPRしてきた経緯もあり、なんとなく未だに「冬の金澤は雪に覆われている」イメージを持つ人も多いだろうけど実のところ雪は「あったりなかったり」で無い時の方が多い・・様に思う。暮れも押し迫ったこの日も見渡す限り雪はない。
 兼六園下から石引までそこそこの高低差をゆったり結ぶ兼六坂(尻垂坂)終盤近く、冬の淡い陽射しが加賀藩重臣奥村家の土塀の奥の方までスーっと淡く差し込んでいる。角度の低い光が土塀や石垣に作る陰影と相俟って「冬ならではの小景」を生み出している。土塀上の瓦の鈍い輝きもこの季節らしい。金澤の冬の「弱く淡い光」の味わい。四季を巡る微かな変化の連続の中から時折り出現する、ごくささやかな美景。2012年12月29日15時57分撮影
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吹雪上がりの夜空 大友楼本店前

 12月から2月に限り極端に日照の少ない金澤の冬(逆に3月から11月までの日照時間は東京よりも1割弱長い)だけど、実は細かく晴れ間が覗く日がとても多い。「弁当忘れても傘忘れるな」という金澤の諺は「天候がころころ変わる」コトをまず一番に、そして二番目に「雨が多い」コトを示している。(出掛ける時、既に雨が降っていれば&降りそうなら傘忘れないしね・・)
 この日も金澤の冬らしい「回り舞台」の様な天候。日付けは変わっているけど「吹雪の神門 尾山神社」はこの日の夕方の話。曇って吹雪いて晴れて吹雪いて・・・舞台がグルグルと回る様な忙しい天候。そして何よりも・・雨上がりの美しい空を超えて「吹雪上がりの夜空」は格別なモノ。先程までの嵐もすっかり止んで無風&無音の中、天頂近くまで昇った月を仰ぎつつ歩く金澤の冬、晩春から盛夏にかけての夜歩きもそうだけど、冬のこういう時もちょっと異次元空間っぽい。2013年1月26日午前1時0分27秒撮影



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2014/12/28

観音坂 雪紅葉

 桜の咲き方散る様と同様に紅葉の色付き方散る姿も毎年様々。あっという間に深紅に色付いてハラハラと舞い散るコトもあれば、いつまでも薄い紅色のままいつの間にか全て地面に張り付いている年もある。
 いずれにせよ通常晩秋になるにしたがって天候のぐずつきと深まる寒さで蒔絵のような艶のある光景が楽しめるのだけど、今年は半ば以降例年にない暖かさと日照で色はあまり深まらず、落ちた葉は乾いて丸まって色褪せて(金澤では落ち葉は濡れて地面に張り付くのが普通)かなり例年とは違う様子、と思っていたら今度は12月始めに突然まとまった雪。(通常12月下旬までそれほど雪は降らない)機会を逸していた葉が一気に染まり枝から離れ、わずかに溶け残った雪と淡く艶やかなコントラスト。例年の金澤ではお目にかかれない珍しい光景。雪紅葉。2014年12月9日16時36分撮影
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2014/12/22

ひがし茶屋街 雪花

金澤は年間で東京の9 割の日照がある(気象庁ここ30年の統計)と言えば大抵の人は驚くけれど・・モチロン雨の多さも全国有数(石川は高知、宮崎に続いて第3位)冬、雨は雪に姿を変えて降っては溶け降っては溶け(平均最低気温は最も低い2月で0.7度)風景に多彩な変化をもたらす。
この日ひがし茶屋街は水分をたっぷり含んだ「ぼた雪」で雪化粧。ほぼ無風の夜をフワフワと降りてきた雪はそのまま垂直にドンドン積み重なって、枝全体にふっくら綿花が載った様、同時に溶け始めて枝の咲きにはキラキラと水玉がガス灯越しに輝いている。
実は冬の金澤、一番景色がダイナミックに変わる季節でもある。2013年1月18日午前零時42分撮影
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2014/12/13

根上松 薄雪化粧

<>気温があまり下がらない金澤(1月のココ30年の最低気温平均は東京大手町と同じ0.9度)の雪は基本降ってるそばからヒタヒタと溶ける。「金澤の雪は重たい」と言われるのは降雪と同時に溶け始めた水、をたっぷり含んで付着する様に積もるから。
木々に降り積もった雪は絶えず少しずつ溶けながら葉や枝を濡らして幹に釉薬をかける。
でもこの日はとても寒く、吹き付けるように僅かに舞った粉雪がそのまま張り付いて固まって普段とはちょっぴり違う光景。ズラリと並ぶ支柱に同じ向きで薄い雪の筋が描かれているのも面白い。
もうじきキラキラ輝きながら溶け始め、多分夕方には大方無くなってしまう。今だけのちょっと渋い雪、を纏った根上松。2014年1月10日11時10分撮影
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紅葉点描天井画 卯辰山山野草園

ひがし茶屋街から歩いてほんの数分の卯辰山中腹にひっそりと存在する山野草園。
斜面にそこそこ広大な敷地を締めている割に小さい出入口が二箇所あるだけの、しかも観音坂女坂に面した方は間口も狭く割りと急な階段で、ちょっと秘密めいた場所。
山野草園という名前が付いているけど、小高く鬱蒼とした木々に覆われた森、の地面を歩きやすい様に整備した公園という趣。
 斜面にありながら何処かに眺望が開けているワケでもなく、ひたすら木々に包まれる場。そういう場所は意外と少なく旧市街の‘公園’としてはここが唯一かもしれない。季節の細やかな移り変わりを森の僅かな変化を通じて感じる場所。
 見上げるとそれぞれに色づいた木々のあちらこちらに陽が透き通り濃淡が美しい。紅葉の点描画の様。明日は微妙に色合いが変わっているだろう。自然が創るその日その日の天井画。2014年11月21日13時59分撮影


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2014/12/10

露結手水鉢 卯辰山三社千杵坂脇

卯辰山菖蒲園の右奥に伸びる千杵坂、卯辰山三社への登り口に建つ鳥居脇に、「露結」の二文字(ご興味のある方はこちらを参照)が彫られた手水鉢がひっそりと佇んでいる。慶応3年に始まる卯辰山開拓で千杵坂を登った先には芝居小屋、茶屋なども置かれ、大変賑わったそう(藩営事業だったため明治維新で頓挫)訪れる人はまずここで手を清め、鳥居の下でお辞儀をして、いそいそと坂を登ったんだろうか。一面色とりどりの落ち葉に囲まれ飾られている手水鉢を観て、そんなコトを想像した。
2013年12月2日15時15分撮影
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