2012/10/31

蒼鷺庭園 時雨亭

兼六園の時雨亭は平成12年に再建された新しい建物だけど、そのルーツは1676年に5代藩主綱紀が建てた蓮池(れんち)御殿まで遡る。(その建物の周りに設えたお庭、蓮池庭が兼六園の始まりでもあった。その後6代藩主吉徳が規模を縮小して建て替えたものが明治初期まで残っていた)
再建にあたっても、極力当時を再現。建材にはじまり、一本の釘も使わない工法、漆を8層!も塗り重ねた深い艶の天井から、障子紙の特殊な貼り方に至るまで・・・一切の妥協はない(貴重な技術の継承、育成にも役立っているのだろう。設計会社を経営する友人が感心しっぱなし・・だった)

この日はたまにパラつく雨が、辺り一帯にシットリと艶を与え程よく匂い発たせて・・・此処で過ごすにはなかなかのコンディション。一般的には少し蒸す6月半ばのどんよりした夕方、だろうけど(^^ゞ

滝の音、水の音を聴きつつ、園内の様々な香りを運んでくる優しい風に包まれて・・・
なかなか暗くならない梅雨の夕暮、いつまでも動かない蒼鷺のいる庭園に相対している時間は淡く深く・・・とても金澤らしい味わい。
2012年06月16日 18時20分撮影
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2012/10/19

月下の‘現在’美術館

 夕暮れまでは、ダイナミックに微妙に変化する空の色を映し、そしてこんな夜は月が映える金沢21世紀美術館。
全面ガラスの外壁を通して優しい光を放つ建物は、周りに広がる芝生もフンワリ浮かび上がらせて普段の夜も充分に美しいけど、月との共演によってさらにグッと魅力を増す。
※有料ゾーン閉館後も外側の無料ゾーンは夜10時まで引き続き開館しているので、夜も柔らかく輝いている。(ちなみにこの日金曜は夜8時まで有料ゾーンも延長開館)
設計者であるSANAA(妹島和世、西沢立衛による建築家ユニット)はこの建物によってヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展金獅子賞受賞、建物自体も複数の賞を受賞している(2010年には建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞も受賞)
単体としての建築も世界でオンリー・ワンの見事な存在だけど月下の姿もまた格別な美しさ。
「月に映える現代建築」を選定するコンクールがあったらまた一つ賞が増えそうだ。
2012年09月28日 18時29分撮影

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2012/10/18

Blue moon逍遥 石川橋

「山錦樓」トピックからさらに30分ばかり。
時刻は午前4時を廻って、いよいよ傾いてきた月を石川橋で眺める。
小立野台地の終わりに位置する金沢城と手前の兼六園を結ぶ橋。
江戸時代は百間堀と白鳥堀(明治になって埋め立てられて、今はそれぞれ交通量の多い道路と緑の深い散策路になっている)の境目になっていた土橋(橋ではなく堤状のモノ)だった。
桜の季節には多くの観光客で一日中賑わうこの橋は、視界も広く月を眺めるにも絶好の場所。
雲が増えてきて隠れている時間が長くなってきたけど、こういう時チラチラと顔を出す月と刻々カタチを変えながら流れていく雲の創る瞬間瞬間の光景はいいモノ。しばしば惚れ惚れ。
月が広い空に千切れ浮かぶ雲に複雑な陰影をつけ何処か艶かしい背景を創りだしている。
石川橋の欄干をモチーフに時間をかけて丁寧に描かれた古い油絵の様にも見える、一瞬の月景色。
2012年09月01日 04時05分撮影
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2012/10/17

Blue moon逍遥 山錦樓

夏も終盤に向かいつつある8月と9月の境目の夜、2012年は「月に二度目の満月」Blue moon。
夜の大気はワクワクする香りに満ちて、月を巡って歩くにはベストな頃。
「酔月」のトピックから30分も過ぎた頃、ちょっぴり傾きはじめた月が
犀川沿いの料亭「山錦樓」の上に浮かぶ。

こうやって何かの上に、何かを前景として浮かぶ月こそが金澤らしい味わい。子供の頃は絵本でみた様な・・広い空にぽっかり浮かぶ満月に憧れたコトもあったけど・・。
というかこっちの方が却って絵本みたいかも・・(^^ゞ

蛤坂の中腹に建つ三階建(こちら側、背面は四階建て)の建物は大正時代から今も変わらず金澤らしい・・不思議な存在感を漂わせている。
川のこちら側はかつて「人口あたりの飲み屋の数が日本一多い」と言われた繁華街。今でも川沿いに並ぶビルにはラウンジやbarがビッシリ。
ここにも柔らかい次元の境目がありそう。
2012年09月01日03時34分撮影

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