2012/02/22

冬の淡空 天神橋袂から

旧市街の家並みに挟まれて緩やかに流れる浅野川は、ほんの少し移動するだけでも眺めがドンドン変わっていく。上流に向かって順に「中の橋」「浅野川大橋」「梅ノ橋」から。ついでに天神橋ちょっと手前からの眺め(←クリックすると画像が開きます)
写真は季節も時間も違うけど、それぞれ200メートルも離れていない場所の「空間を構成する要素の変化」がなかなか大きいコトが分かって頂けるかと思う
ここは天神橋の袂。今まで風景を構成していた重要な要素「橋と卯辰山の柔らかい曲線が織り成すハーモニー」は消え、此処からは広い空とそれを映す川面が主役。大きくせり出した木々は名脇役として四季折々見事に風景を引き立てる。
一歩あゆみを進める度、穏やかなカーブの先に、今までは卯辰山の上にシルエットで僅かに顔を出していた、遠く県境に繋がる山並みがクッキリと見えてくるのは「突然遠くに来てしまった」様なちょっぴり不思議な感覚。夕陽を一番最後まで浴びる彼方の山頂付近が薄くピンクに染まり、澄み切った雪解け水で満ちる川面が鈍く銀色に輝き、淡く美しい冬の夕暮れ。
2011年12月28日16時15分撮影

より大きな地図で 金澤コンシェルジュ通信マップ を表示

2012/02/16

冬の淡空 21世紀美術館

太平洋側の人達が対照的な天候の冬の北陸を訪れて、その暗く重い空の印象を文学や記事にしてきた結果「北陸の冬の空は陰鬱」という印象がすっかり出来上がっていると思う。それに影響されて住んでいる人達でさえ「その様な不満」を抱く人は少なくない。もちろんそれはある意味正しいだろう。
天候を晴れ、曇、雨みたいに把握するコトが習慣になってしまっている地方の人から見ればこの空も「ただの曇天」に見えるのかもしれない。
でも・・・少しだけ佇んで眺めれば分かるコトだけど、ゆったりと、また早く流れ移り変わっていく冬の雲がしばしば空全体に展開する陰影はとても表現力に富み、時間を忘れて見惚れてしまうコトさえある。
時として淡い晴れ間が覗いたり、夕方空の一部が微かに桃色混じりになったりするのも楽しい。金澤のホントの味わいは連続した変化、時として微かな・・を感じそこに絶えず生じている「一期一会の光景」を楽しむコトにある。
豊かな陰影の空と反映する建物が作る風景に、休館日というコトもあって黒一色のカラス達が自由に留まり、モノトーンの穏やかで繊細なインスタレーション空間が出現している冬の夕方。
2011年12月12日16時19分撮影

より大きな地図で 金澤コンシェルジュ通信マップ を表示

2012/02/12

冬の淡空 ひがし茶屋街

金澤の人の中には冬のぐずついた天候と東京のそれを比較して羨ましく思う人が多い。実際私も東京で暮らすようになるまではそう思っていた。
でも住んで一年目の冬を過ごして春になろうとしている時に「とても物足りない」気持ちになった。大切なお祭を見ないまま春になった様な・・そんなモノ足りなさ。
冬だけ日照がかなり少ない金澤(逆に春〜秋は金澤の方が関東よりも日照時間は多い)だけど、雨に雪に洗われた大気が作る青と微妙で豊かな階調の雲が見せる「淡空」はその時間の短さと相まって「夢の様な」ちょっと現実離れした美しさ。
金澤の冬は「どんより曇った日が何日も続く・・」
のではなく「曇や雪雨の間に細かく晴れ間が訪れる不思議な天候が続く・・・」季節。
傘を差す機会がとても多い日常生活の中、日に何度も「こういう空」を思わず見上げるコトによって金澤人独特の感性が育まれてきたのは間違いない。
風花も止んでしっとり濡れたひがし二番丁に和やらかい日差しが降りてきて、また、あっという間に曇って・・そんな変化を眺めるのはただ単純に楽しい。理由もなくワクワクする光景。
2012年02月09日12時20分撮影

より大きな地図で 金澤コンシェルジュ通信マップ を表示

フォロワー